【第1支部 第9回研究発表大会 in 秋田~地もとでデザイン~】活動報告

2018年10/7~8  秋田にて第1支部 第9回研究発表大会が開催されました。

● 10月7日(日)会場:秋田大学 鉱業博物館

はじめに、今井忠男先生(秋田大学国際資源学部教授/岩盤工学)による「阿仁鉱山の技術と経済が残した物~秋田文化と工業のつながり~」というテーマの講演がありました。江戸時代前期に開抗した阿仁鉱山にて、地下鉱脈の調査・採掘技術が高度に発展してきた経緯や、金銀銅の河川舟運による、まちづくり・秋田文化の創生についてのお話を聞くことが出来ました。つづいて5名の研究者による口頭発表があり、異なる現場における実践中心の研究発表を聞くことが出来ました。発表は全てグラフィックレコーディングし、懇親会の和やかな雰囲気の中で、グラレコを基ににもう一度、発表内容について議論しました。

JSSD_1st_大会プログラム

● 10月8日(月)会場:旧割烹松下

大会二日目朝9時、約80畳のお座敷に13件のポスターがずらりと並び、ポスターセッションが始まりました。セッションは発表者も質疑に参加できるように2部制に分けて実施されました。今年は、学部生の参加が多く、学生同士の闊達な意見交換が展開されていました。

ポスター発表の次は、秋田が誇る銀銅の金工職人お二人による作品説明がありました。参加いただいたのは、江戸時代前期に刀の柄や鍔(つば)の装飾技術として生まれた木目金の製法を独学で修得した職人さんと、若い感性で伝統に捕らわれない新たな銀線細工を制作している若手職人さんです。お二人とも独自のアプローチで金工技術を探究しており、地物で工芸を極めようとするモノづくりの姿勢や考え方を学ぶことが出来ました。

職人さんの作品紹介につづいて、あきた舞妓さんによる日本舞踊の演舞がありました。実は会場となった旧割烹松下は、明治から昭和初期にかけて繁栄した川反芸者の文化を再び嗜むことを目的にリノベーションされた場所です。

鉱業で栄えた秋田の芸者文化の盛衰と再生のお話を聞き、舞妓さんの演舞による非日常世界にひとしきり浸かった後、10名の実践者によるライトニングトーク(以下、LT)がありました。LTは、「このアイデアどうでしょう?」とか、「やってみたら、こうなったんだけど、どう思います?」など、口頭発表では怖くて聞けないような「問い」を気軽に立てられることが魅力です。10人の軽やかなライトニングトークも、その場でグラフィックレコーディングし、LTの後にグラレコを見ながら参加者と発表内容に関して議論を深めました。そこでも発表者と参加者同士が、デザイン活動の悩みやアイデアについて熱く語りあう風景が、各所に生まれていました。

JSSD_1st_大会プログラム

2日間を通して豊富な鉱脈を有する秋田の鉱業と工芸のダイナミックな相関をリアルに味わい、秋田にすっかり魅了されてしまいました。
また、2日目 旧割烹松下での研究発表では学生と職人さん、舞妓さん、そして教員、社会人の垣根を超え、それぞれのデザイン活動についての知見を交わし深める場になりました。

第1支部大会では、学会活動を地域に開いていくことをコンセプトに大会を開催しています。

2019年度の第1支部大会は「山形!」「幹事校は東北芸術工科大学!」にて日本デザイン学会秋季企画大会と合同で開催いたします。来年度も第1支部・東北-北海道圏域ならではのデザイン知が生まれる場づくりを目指していきます。