ファッション・デザイン部会 令和5年度研究例会

日時 :2024年3月16日(土)午後14:00~17:00 (質疑応答を含む)

■場所 :杉野服飾大学目黒キャンパス

■発表テーマ:明治期の染織品デザイン教育と日英交流

発表者:畑久美子(愛国学園短期大学)

要旨 : 本研究では、染織品のデザインを視座に、イギリスと日本ではデザイン教育の形成過程に差異があるのか、日英交流がデザイン教育の近代化にどのように関与しているのかについて検討した。デザイン教育の形成過程は、産業先進国であったイギリスと、西洋に後行した日本ではその様相が異なっていた。イギリスは世界に先駆けて産業革命を経験し、技術革新が先行して自生的にデザイン教育が形成されていったが、日本では、開国や明治維新などを機に技術革新と並行して、輸出や万博出品に向けたデザイン教育の必要性に迫られていった。明治期は、イギリスがデザイン改革を推進していた時期でもあり、日英交流によって、日本はイギリスから最新の工学知識・技術、博覧会や博物館、デザイン学校などの産業と芸術を融合させるしくみを享受した。一方、イギリスは、日本の伝統的な工芸の精緻や独特な美を享受し、デザインの一手法として取り入れ、日英双方向の流れがあったことを明らかにした。