平成27年7月17日(金)、慶應義塾大学矢上キャンパス新34棟デザインセンターを会場として、日本デザイン学会 デザイン理論・方法論研究部会(DTM)の2015年度活動:「デザイン塾:タイムアクシスデザインの時代」が開催されました。本活動は、DTM、日本設計工学会 研究調査分科会、日本機械学会 デザイン科学研究会の共催により行われました。本塾は、「タイムアクシスデザインの時代」(第1部)、「タイムアクシスデザイン・価値成長デザインに関する講演」(第2部)、および「技術交流会&ポスターセッション」(第3部)の3部構成で開催されました。
はじめに、DTM主査の松岡より、“デザイン科学の構築”と“デザイン哲学の再生”を目的に掲げるデザイン塾の趣旨や意義とタイムアクシスデザインとの関係について説明がなされた。
第1部においては、慶應義塾大学加藤健郎専任講師の司会で、松岡、マツダ株式会社 古郡了氏、東京大学 梅田靖教授、および首都大学東京 下村芳樹教授らによるパネルディスカッション形式の講演がなされました。松岡からは、「タイムアクシスデザインの時代」というタイトルで、理論や方法論、思想としてのタイムアクシスデザインの概説がなされた。また、古郡氏からは、使えば使うほど価値が成長するモビリティシステム」というタイトルで、タイムアクシスデザインの概念に基づく価値成長モビリティシステム研究の概要が説明されました。さらに、梅田教授より、「ライムサイクル工学におけるタイムアクシスデザインの必要性」というタイトルで、ライフサイクルデザインや工学という視点から見たタイムアクシスデザインの必要性や重要性について、自身の研究における方法論や方法を交えながら概説されました。さいごに、下村教授より、「製品サービスシステム(PSS)開発とタイムアクシスデザイン」というタイトルで、PSS設計におけるマルチタイムスケールの概念の重要性とその応用方法について説明がなされた。講演後の聴講者を含むディスカッションでは、“デザインと時間軸”や“価値の成長メカニズム”を中心テーマとして、本質に迫る討論がなされました。
第2部においては、2件の講演がなされました。慶應義塾大学大学院 畑政貴氏からは「材料を視点とした価値成長型人工物のタイプとデザイン指針」というタイトルで、価値が成長する人工物のタイプと材料の関係分析結果に基づくデザイン指針の説明がなされました。また、Graduate Scool of Keio University Mikako Arita氏からは“Timeaxis Design of Health Monitoring Seat System”というタイトルで講演がなされました。講演のなかでは、タイムアクシスに基づく段階的な機能向上を実現するシートシステムデザインのプロセスやロードマップについて説明がなされました。
第3部においては、タイムアクシスデザインやデザイン科学に基づく研究事例や作品(全6件)のポスター発表と並行して技術交流会も開催され、盛況のうちに終了いたしました。
本活動においては、デザインに関わる研究・教育者の方々(産業技術総合研究所、千葉工業大学、東京大学、北海道大学、武蔵野美術大学)、実務者の方々(NEC、SKGコンサルティング、アーカイブ、キヤノン、小森康弘技術士事務所、南条装備工業、日産自動車、日本発条、プロセス設計塾、マツダ、丸善プラネット)、学生を含む約60 名の方にお越しいただき、タイムアクシスデザインの意義や可能性について活発な議論が行われました。